NHKプロフェッショナル「仕事の流儀」ワンちゃんスペシャル 1月29日放送を見て、3人目に登場したプロフェッショナル 危険な犬の専門訓練士中村伸哉さんの仕事ぶりを見てびっくりしました。
噛みつきで殺処分寸前の柴犬“まめ蔵”に手をかまれながらも、懸命に訓練する中村さん。まめ蔵は指示に不満があると大声で泣き叫んで、中村さんの手を噛みつく始末でとても手に負えません。その直後に中村さんは数回にわたり、げんこつと平手でまめ蔵の頭を強く何度もたたいています。最初、見たときはなんてひどい虐待なのだと思いました。
もし、この指導が人間の小中学生に行われたとしたら、教育現場から行き過ぎた暴力教師として即処分されてしまうことでしょう。事実、中村さんは動物保護団体から何度も動物虐待であると抗議を受けているそうです。(強くたたく動画だけを見ると虐待と感じると思う)
噛みつき事故が毎年4000件を超えており、それが理由で手に負えない犬は殺処分されているという事実があり、噛みつく犬は更生できないから処分するのもやむを得ないといわれているそうです。
そんな中で自分の犬の噛みつきをなくして欲しい飼い主が、全国各地から次々と中村さんを頼りにやってくる。
中村さんの指導は実は極めてシンプルで、犬と人間の主従関係をしっかりと教えてダメな事をしたら叱る、指示通りのことをできたらしっかりと褒めてやるということ。
弱いものは殺されたり生きていけない野生動物等の世界では主従関係が必要で人と共存するルールをわからせてあげること。
今回のまめ蔵のような手におえない?レベルの場合は体罰的な指導もありうるということではないか?(ただし、体罰には賛否ある)
今回のまめ蔵の更生をお願いしていた飼い主が施設を再び訪れて、厳しい訓練によって、まめ蔵が心を開き立ち直っている姿を見て、飼い主は涙を流して喜んでいました。
人の手に負えなくなった狂暴な犬は、人と心が通わすことができなくなった寂しい犬であって目がどこか悲しげである。中村さんの指導は単なる体罰でなくて犬が人に心を開くための指導なのです。
中村さんが更生できる確率は80%で、できない犬が20%いるそうですが、できない犬はすべて中村さんが引き取っているそうです。中村さんを批判することは簡単ですが、普通の方法で更生できないから中村さんが必要になるのであって、犬がそこまで凶暴になった過程には大いに問題があります。
ペットブームで、かわいがるのはいいが、褒めてやること、叱ること、主従関係を理解させるといった基本的なしつけができていないことが凶暴な犬を育てた根本の原因です。
子犬の頃からボディーコントロールなどを通じて、犬との主従関係や信頼関係を行い適切な指導をすれば、噛みつきを行う犬にはなりません。
このような犬に育ててしまった飼い主にも責任があり、中村さんの手法は強引ではあるが、再教育するための必要悪なのではないかと感じました。
中村さんを頼る人や犬がいなくなることが理想の社会であるし、暴力的指導方法を使いたくないことは、中村さん自身も語っています。
飼い主本人もしくは中村さん以外の方が、暴力的方法を用いずに、社会復帰ができない凶暴な犬を治せる更生施設があることが望ましいです。しかし、批判する人はいてもこの様な犬の受け皿がないことが現状なのです。
中村さん「この施設にいる限り、犬がどんなに凶暴であっても殺処分されずにすむのです」という言葉は、彼が実に犬思いの優しい心の持ち主で本気で犬を訓練してあることがわかります。
「結果を出すために動くってプロフェッショナルとして当たり前のことですから」...さらりと語る中村さんはすごい人ですね。
*中村さんが語る「プロフェッショナル」とは?中村さんブログ
*愛犬救命訓練士 中村さんはコチラ(北栃木愛犬救命訓練所)