◎トヨタ生産方式の考え方と進め方

トヨタ生産方式については書店にいくといろいろな解説本が出ていますが、トヨタ自動車のホームページでどのように取り上げられているのかをあらためて再確認してみました。

 

トヨタ自動車公式HP解説は⇒トヨタ生産方式

 

『ムダの徹底的排除の思想と、造り方の合理性を追い求め生産全般をその思想で貫き、システム化した生産方式』

自働化と目で見る管理

 

『品質は工程でつくりこむ!』

あらためて内容を読んでみると実にシンプルであり、あえてこれ以上の解説本は必要ないと思いますが、実際の製造現場でこの思想を落とし込んで運用しようとすると、それぞれの会社にあった創意工夫が必要になるかと思います。

 

たとえば一言で『異常』と言っても意味は『いつもと違う』であり、不良や設備故障はあきらかな異常でわかりやすいですが、たとえばチョコ停の場合はどうだろうか?ある意味止まるのだから異常ですが...

 

チョコ停とは何らかの原因で(エラーメッセージにより)設備が短時間停止することを言いますが、特に設備が故障しておらず、不良を作っているいない場合は、メッセージを解除して再稼働する場合もあります。

 

チョコ停の処置をどうするべきか?

 

そこでオペレータの対応力やスキルがとても重要になります。本当に意味のない?チョコ停であれば、停止しないようにセンサーを切るとか感度を下げればよいわけです。

 

逆に本当に問題があればすぐに停止してもらわなくては、不良の山を作り、設備は完全に壊れてしまうかもしれません。

 

生産を任せられているオペレータはノルマの生産数があるためにチョコ停の原因分析を怠り、とにかく設備を動かそうとする傾向があります。

 

『異常があればとにかく生産停止』さらに加えると

『異常時の3原則=止める・呼ぶ・待つ』がとても大切です。

 

最終的に異常処置は個々の判断力、対応力に依存する部分が大きいため、いくら完璧なシステムを構築しても限界があります。また、異常を取り除く手段や工程の改善・創意工夫は人にしかできません。

 

トヨタの『モノづくりは人づくりから』の考え方は最終的にはこのあたりと通じるところがあります。


『必要なものを必要なときに必要な量だけ造る』

トヨタ生産方式=ジャストインタイムと思われるぐらいに有名ですが、勘違いしてはいけないことは『ジャストインタイム』は手段であって目的ではないということです。

 

『ジャストインタイム』を行うことでムダ取りができて最終的に利益につなげることが目的であって、これらの活動に無理があり逆に不利益がでてしまうのであれば本末転倒なのです....

 

『ムダ』とは?

①時間(工数)のムダ:手持ち、探す、運搬、過剰な検査他 

②在庫のムダ:材料先取り、作りすぎ、中間在庫及び長期滞留他 

③不良のムダ:材料のムダ使い、作り直し、再検査、手直し他 

④動作のムダ:不適切な作業方法、治具不備、マニュアル不備他 

 

追加するとチームワークの悪さや意識レベルの低さに起因するムダとしては、情報伝達不足、誤発注、連絡展開忘れ等が最大のムダです。

 

また、最も悪いことは『ムダをムダと気がつかないこと』そういう自分もできている様でできていないかと思います...

 

たとえば、ありがちなことはいつも油で設備が汚れていて、誰も注意しないし掃除もしないことが続くと汚れていることを悪いことと思わなくなる。よく言われる『ブロークンウインドー理論』と同じ理屈です。

 

そうはいっても率先して自発的に掃除をしたり、改善ができる人は普通は誰もいませんし、私もできません....

 

ですから、気合いや掛け声だけではだめで『再発防止は人を責めるのではなくて、しくみを改善する』ことで対応します。

 

『本来あるべき姿(理想)は何か?』まさに経営哲学・思想に通じるかもしれませんが、これを追い求めていくこと。

 

従業員にも理想の姿を厳しく求めつつ、自らもそれを実践し継続的に繰り返すことで、思想を浸透させることができる。そしてそれが個々の企業が持つ風土や文化ができあがるのだろう。