◎プラスチック新法案まとまる

3月9日「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が閣議決定されました。

レジ袋の有料化から、スプーン、ストローなど対象の範囲が広がるとの話がありますが、いったいどのような法案なのでしょうか?

 

【経済産業省 「プラスチックに係る資源循環の抑制等に関する法律案」より抜粋】

 

1.本法律法案の趣旨

海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機として、国内におけるプラスチック資源循環を一層促進する重要性が高まっています。これを踏まえ、プラスチック使用製品の設計から廃棄物処理に至るまでのライフサイクル全般であらゆる主体におけるプラスチック資源循環の取組を促進するための措置を講じます。

 

2.本法律法案の概要

(1)プラスチック製用製品設計指針

製造事業者等が製品設計等において努めるべき措置に関する指針を策定するとともに、当該指針に適合する設計を主務大臣が認定し、当該設計に基づき製造されたプラスチック使用製品の調達や使用を促進します。

 

(2)特定プラスチック使用製品の使用の合理化

特定プラスチック使用製品(商品販売やサービスの提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック使用製品)の提供事業者がプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制のために取り組むべき措置に関する判断の基準を策定し、使用の合理化を求める措置を講じます。

 

(3)市町村の分別収集・再商品化

容器包装再商品化法の仕組みを活用したプラスチック使用製品廃棄物の再商品化等により、市町村及び再商品化事業者による効率的な再商品化を可能とする仕組みを導入します。

 

(4)製造・販売事業者等による自主回収及び再資源化

自ら製造・販売したプラスチック使用製品が使用済となったものについて、製造事業者等の自主回収・再資源事業計画を国が認定することで廃棄物処理法の規定による許可を受けずに再資源化を実施できる仕組みを構築します。

 

(5)排出事業者の排出抑制及び再資源化等

排出事業者が排出の抑制や再資源化等の促進のために取り組むべき判断基準を策定するとともに、排出事業者等の再資源化事業計画を国が認定することで廃棄物処理法の規定による許可を受けずに再資源化を実施できる仕組みを構築します。

 

以上 抜粋終わり

 

2020年7月1日からレジ袋の有料化が開始されてから九ヶ月が経過して、ようやくマイバックを持ち歩くことが日常に定着してきたと思ったところで、いよいよプラスチック新法案が閣議決定されることになります。

 

2018年のG7にてプラスチックごみによる海洋汚染の対策を採択した「海洋プラスチック憲章」で、日本とアメリカは、国内法が整備されていないとの理由などで署名をしなかったことから、今回の法案閣議決定の流れとなります。

 

今回の法案により、たとえば、テイクアウト、コンビニのプラスチック製スプーン、ストローなどが対象となりますが、この流れはあらゆる業界、業種の製品において、製品設計からリサイクルまで、優先順位の高いものから順次、適用範囲が拡大されていくものと思われます。

SDGs(Sustainable Development Goals)持続可能な開発目標とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標ことです。

 

 

大きな流れである持続可能な開発目標SDGsについては、世界各国が17の目標を掲げて取り組む流れがあるなかで、日本だけが取り組まないわけにはいかず、特に、海洋ゴミに影響が大きいプラスチック産業については、これらの法整備と具体策の検討など早急に対応が求められます。

 

また、日本にとっても影響力が大きいアメリカ大統領が、共和党のトランプ政権から民主党のバイデン政権へ変化したことも、より環境問題に積極的に取り組む方向に変化するきっかけとなることでしょう。

 

たとえば、環境にやさしいバイオプラスチック(生分解プラスチックなど)は、かなり以前から素材レベルで開発されていましたが、コスト面や強度面、耐熱性などの理由で、実際の製品への採用が見送られてきました。今後、法整備が進むと一気に普及が加速する可能性もあります。

 

プラスチック産業において、材料の再利用、廃棄物の減少、新素材の積極的採用など取り組むべき課題は、いっそう増えてくることは避けられず、SDGsに業界全体として取り組まなくてはならないことは、喫緊の課題となります。